タイチとコージは無言でムシャムシャ食べている。
この2人、食事中はあまり会話をしないので、とにかく食べ終わるのが早い。
アタシが半分食べたくらいで2人は食べ終わっていた。
・・・2人の視線が痛い。
「もうお腹いっぱい」そう言ってお皿をタイチに渡す。
「ホントはまだ食えんだろー」そう言いながらもきれいに食べてくれた。
外に出ると夕方になっていた。
「これからどうする?」「そうだな。もう特に買う物もないしな」しばらく考え込む2人。
「なぁ、横浜行かねーか?」とタイチが言う。
「行きたーい!」タイチはいつもとんでもないことを言い出すのだが、これにはちょっと賛成。
「別にいいけど」3人で駅に向かう。電車に乗るとコージが、「やっぱ今日は帰るわ」と言う。
「なんで?行こうよ、横浜。みんなで行った方が楽しいじゃん」「いや、今日はやめとく。2人で行ってきな」そう言うと、自分の降りる駅で降りてしまった。
ドアが閉まって電車が走り出すまで、タイチとコージはジェスチャーでふざけていた。
「コージも来ればよかったのにね」「そうだね」すっかり暗くなってしまった外の景色を見ながらタイチが言った。
同じように景色を見ながら、横浜の海や船、ネオンにワクワクしていた。
「とりあえず船見るべ」「うん!でも場所わかるの?」「さあ、テキトーに歩いてれば着くんじゃない?」タイチはいつもそう。下調べなんてせず、テキトーな駅で降りてテキトーに歩く。
目的地に着くまで散々歩かされるなんてしょっちゅうだ。目的地変更もよくある。
「ホントにこっちでいいの?絶対、船見たいからね」「まぁ大丈夫でしょ」そう言いながら歩いていると公園に着いた。
「お、ココじゃない?」「ホントだ!なんか見える!」アタシは小走りで光の方へ向かった。
「見てー!船ー!」そこにはライトを付けた大きな船が泊まっていた。
真っ暗な海に浮かぶ船。とてもキレイだった。
「キレイだねー」「ああ」そこから見える景色をしばらく見つめていた。このまま時間が止まればいいと思った。
それは普段見ることが出来ない幻想的な景色であり、とても静かに輝いていた。
どれくらいそこに居ただろう。