それは普段見ることが出来ない幻想的な景色であり、とても静かに輝いていた。
どれくらいそこに居ただろう。

「いま何時くらい?」
「ん?22時」
「そっかー。そろそろ帰らないといけないね」まだ帰りたくないけど仕方ない。
アタシはそう言いながらも、この景色から目を離せないでいる。
「もっと見てたいな・・・」
「じゃあ見てよう」
「でも・・・電車なくなっちゃうよ」
「いいじゃん。なくなっても」そう言うとタイチはアタシの肩を抱いた。まだ3月の寒い夜。タイチがすごく温かかった。
「・・・うん」そのまま、黙ってしばらくその場所にいた。
「ちょっと寒くなってきたね」タイチが言った。アタシはちっとも寒くなかった。だって隣にタイチがいるから。
「そろそろ行こうか」
「ドコに?まだ見てたいよ」
「また明日も見ればいいだろ」そう言うとアタシの手をとって歩き始めた。
アタシは名残惜しくて、何度も今の場所を振り返りながら歩いた。
「いつまで歩くの?ちょっと休もうよ」アタシはキョロキョロとファミレスでもないか探しながら歩いた。
どうせ目的地なんてないだろうから、朝まで時間を潰せる場所を見つけようとした。
「ココで・・・いいかな・・・」見るとそこはとてもカワイイ建物だった。
ふと見上げると「ココって・・・ホテル・・・?」
「うん・・・」こんなトコに入るのは初めてだった。だけど一緒に居たいから。
アタシは無言でうなずいた。
部屋に入るとソファーに座りフーッと息をついた。
「疲れただろ?」
「ううん、大丈夫」
「体、冷えてるよ。先にお風呂入っちゃえば?」
「うん。大丈夫」アタシは緊張でどうしていいか分からなかった。
タイチはお風呂場に行ってお湯を溜めてくれた。
「行っておいで」タオルとバスローブを渡してくれた。
湯船に浸かりながらドキドキしていた。
(何もないよね。大丈夫だよね。)「顔、真っ赤だよ」お風呂からあがったアタシを見てタイチが笑いながら言った。
「これでも飲んでゆっくりしてな」冷たいジュースを差し出すと、タイチもお風呂に向かった。
その後は2人でテレビを見て・・・内容なんて覚えてないけど・・・「そろそろ寝ようか」
「う、うん」おいでと差し出してくれた手をとった。
電気が消える。
タイチはアタシにキスをした。
アタシは怖かった。もしこれでタイチのことを嫌いになってしまったらどうしよう。
2人の関係がギクシャクしてしまったらどうしよう・・・アタシはギュッと目をつぶっていた。
アタシ達は初めての朝を迎えた。
隣ではタイチがまだ眠っていた。