不思議だった。あんなに不安だったのに、怖くて仕方なかったのに。
今は・・・タイチが愛しくてしょうがない。
前よりも、もっともっと「好きだ」という感情で溢れていた。
アタシはその感情を抑えきれず、まだ眠っているタイチに思いっきり抱きついた。
これからもずっとずっと一緒にいようね。
「オレたち。別れよう・・・」突然言われたタクからの言葉。
「え・・・」意味が分からなかった。理解できなかった。
「他に・・・好きな人ができたんだ・・・」
頭の中が真っ白になった。
何も考えられなかった。「ゴメン・・・」と言うとタクは去っていった。
タクの背中を見つめながら涙がこぼれた。いつも一緒にいた大きな木の下。
風が吹き。ザワザワと悲しい音を立てた。
あれからどうやって家に帰ったか覚えていない。
目が覚めると朝になっていた。ベッドの上でまた涙がこぼれた。
止まらなかった。いつの間にかまた眠ってしまっていた。
また朝が来た。昨日から何も食べていない。
でも。食欲なんてなかった。
「タク・・・」まだ実感が持てなかった。
また夜になったらタクから電話がかかってくるようなメールが届くような。そんな気がしていた。
メールも電話も来なかった。「他に好きな人ができた」
タクの声が頭に響く。そっか。
その人と楽しくやってるのか・・・だけどまた戻って来るような、そんな期待をしていた。
あれから数日が過ぎた。相変わらず食欲はなく。だいぶ体重が落ちたようだ。
歩くとフラフラする。ホームに入ってくる電車の風に耐えられず。思わずよろける。
そしてそのまま線路に吸い込まれそうになる。
(もう。終わったんだ・・・)
そう自分に言い聞かせながら毎日を過ごす。