心にぽっかりとあいた穴はなかなか埋められそうになく。1日。また1日と時間だけが過ぎていった。
「ユウちゃん。だいぶ痩せたね」声をかけてきたのは同僚のナツキ。
「最近。お昼食べてないんだ。ダイエット中なの」
私は嘘をついた。
食べてないんじゃなくて食べたくない。
「えー。お昼食べなかったら午後が持たないじゃん!」
「でもデスクワークだし。もう慣れちゃったから」
「へ~。すごいね~」
そう言うとナツキはパクパクとお弁当を食べ始めた。
なんとなく。付き合っていた彼と別れたとは言い辛かった。
それ以来、社内で知らない人に声をかけられる事が多くなった。
「ユウさんでしょ?私もね。お昼食べるのやめてみたの」
・・・ナツキめ。お喋りなナツキが、「お昼を抜くと痩せる」というデタラメな噂をあちこちで言いふらしているらしい。
「あはは・・・そうですか~」適当に話を合わせてその場を離れる。
(は~あ。メンドクサー)会社に蔓延した「昼抜きダイエット」はしばらく続いた。
数ヶ月が過ぎた。
私の心もだいぶ落ち着きを取り戻し、これがいつもの生活だと自覚できるようになった。
そんなある夜、1通のメールが届いた。
「誰だろ?」携帯を開くと
「元気?」の文字。
電話帳からはとっくに消したけど、アドレスは覚えていた。
タクからだった。私は悩んだ。
あんなに望んでいたのに・・・。まだ好きなのに・・・。速攻で「元気だよ!」と返したい
「元気?」の文字を見つめながら今までのことが頭をよぎる。
好きな人が出来たと言って私を捨てたタク・・・。崩壊しそうなくらい辛い精神状態の日々。
ほとんど食べ物を受け付けなくなった体。とても元気などではなかった。
そう思ったらなぜかあんなに好きだったタクの、まったく誠意のないメールに怒りの念が込み上げてきた。
私は返事をすることなく携帯を閉じた。