僕の目の前には愛するキミが眠っている。
一生覚めることのない深い眠り。大好きな花に囲まれ、静かに眠っているキミ。また目を開けるんじゃないかと思うくらい綺麗だ。
僕はキミの隣でそっと目を閉じる。どうしてこんなことに・・・涙が頬を伝った。
それは、とても雨の強い日のことだった。
キキーーーッ!!急ブレーキをかけるトラック。辺りが騒がしくなる。
雨はさらに強く降り続けた・・・僕が連絡を受けて病院に着いたときには、キミはもう目覚めることはなかった。
どうして・・・僕は理解できずにずっとキミを見つめていた。
眠っているだけなんだろ?僕はキミの手を握る。
だけどその手は僕の手を握り返してくることはなかった。
僕はキミの名前を呼んだ。
何度も・・・何度も・・・いつものように笑ってくれよ。
お願いだから、目を開けてくれよ。
僕はキミの名前を呼び続けた・・・電気も付けていない暗い部屋。
僕はふと窓の外を見る。月がキレイだった。窓を開けて外に出る。
こうして2人で空を見上げたこともあったな。あの時はキミが隣にいた。
だけど、今は・・・また寂しさが込み上げてきた。
僕は部屋に戻ると、キミを想い泣いた。
キミを愛していたんだ。あれから・・・何日たっただろう・・・「ずっと家の中じゃタイクツだろ」僕はキミの写真を見てつぶやく。
外はとてもいい天気だ。
僕は心の中にキミを連れて出かけることにした。
一緒に行った場所、2人の思い出の場所にもう一度連れて行ってあげようと思った。
僕は家からさほど遠くない公園に来た。どこにでもあるような普通の公園だ。
キミのお気に入りは、この藤棚の下のベンチだったね。
藤の花が満開になると、とてもよい香りがする。
風に吹かれてヒラヒラと舞い散る花びらが綺麗だ。子供が好きだったキミは公園で遊ぶ子供達を見ながら「カワイイね」と笑った。
僕も、キミと僕の間に生まれてくる子供を想像していたな。
隣で微笑むキミを、とても愛しく感じていたんだ。
僕は立ち上がると駅へと向かった。